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執筆者の写真TOMOIKI SEKINE

nokishita711はなぜ完全予約制フリーフローという営業形態に行き着いたのか


nokishita711 [ liquid cuisine / 液体料理 ] は2021年より完全予約制で営業しております


バーなのになぜフリーフローなのか、予約制なのか、同時スタートなのか、そこには予約制フリーフローでしかできないことがあるからです




「なぜフリーフロー?」


あなたは『液体料理』という名を聞いたことがあるでしょうか?

どんな美食家でも、答えはノーです

なぜならセキネトモイキが創り出した人類史上初の概念だからです



液体料理というものがどんなものかはまた別の機会に説明するとして、ここで重要なのは、それがまだ誰も体験したことのないものだということです



すべての人にとって新しい体験を楽しむのは難解なものです

例えばなにかのきっかけでnokishita711を知った人でも、たまたま店の前を通りかかって気になった人でも、1杯だけのカクテルを飲んで液体料理がどういうものかを理解し楽しむことは難しいと思います

また、体験したことのない味わいをメニューを読んだり説明されただけで想定することも難しいので、飲んでみたら想定していた味と違った、ということは避けられません

なので色々な種類をテイスティングのような要領で飲んでもらうことで『液体料理』というものの大枠を感覚的に理解し楽しんでもらおうという考えに至りました


それならばフリーフローではなくテイスティングコースのような少量の決められたものを楽しむコース形式でも良いのではないかと思われるかもしれません

しかしセキネトモイキはコースで提供を嫌います

セキネトモイキが大切にしているものの一つが『選択する』ということだからです

自分で選ぶ。それは当たり前のことのように思いますが、真に自分の判断で選択するということは実はなかなかに難しいことだと考えています

選択する、ためにはまず選択肢がそれぞれどういったものか把握する必要があります

そして初めてのものを把握するにはそれがどういったものか想像する必要があるのです


さきほど『選択する』ことを大切にしていると言いましたが、真の意味では『想像する』ことを何より重要だと思っています

『想像する』とは正解を正しく導き出すことではありません

大切なのは想像するというプロセス、そして実際のモノと想像したモノを比較することだと思います


コースでの提供にしてしまうと、客は何も想像することなくカクテルにありつけます

もちろんメニューを見てどんなものかと軽く考えることはあると思いますが、自分で選択して注文することに比べるとその解像度は低くならざる負えないでしょう

そして自ら想像し選択したからこそその体験が深く記憶に刻まれるとも思います


その『選択』と『想像』をなによりも大切に思うからこそ、自らで注文を決めなくてはならないフリーフローという形式を選択したのです




「なぜ予約制同時スタートなのか」


それならば予約制にせずとも、予約不要だがフリーフローという形式はマスト、という営業形態でもいいかと思うかもしれません

しかし同時スタートの完全予約制には別の理由があります


今回フリーフローと一緒に始めたのが『茶会』です

90分のフリーフローを楽しんでもらったあとに同じ時間にご予約いただいた皆さんで中国茶を囲む茶会を設けさせてもらってます

カクテルバーで最後に茶会と聞いてもおまけ感がぬぐえないと思います(実際茶会の存在を忘れてフリーフローが終わると帰ろうと準備してしまう方もいます)

しかしこの茶会こそがnokishita711の核ともいって過言がないのです


まず中国茶の茶会というのが1つ同時スタートのポイントです

中国茶は一つの茶葉で何煎も楽しんでもらうことができます、なので何度もお茶を淹れるという行為が発生するためサーブする人間が付きっきりになってしまいます

それが難しい中国茶カフェなどでは何煎かをまとめてポットでサーブすることになってしまします

しかしそれでは一煎ごとに変化する茶葉の味わい、そしてなにより茶を淹れるという時間が楽しめません


また特に中国茶の茶会は『同じお茶を囲んで皆で話をする』ということがとても重要だと思っております

茶道的な茶会とは違い『茶と場を楽しむ』ということにより重きを置いています

なのでその場にいる全員で同じお茶を囲み、液体料理のことや京都のことなどを語り合うということが欠かせないとセキネトモイキは考えております

想像してみてください。1組のお客さんに何煎もお茶を淹れながら同時にカクテルを作っている空間。。。地獄です


また先ほども書いたように『液体料理』は誰にとっても初めての体験です

フリーフローで色々な種類を楽しめたとしてもやはりセキネの説明を求めたい気持ちはあると思います

しかしいざ満席の時にしっかり説明をしようというのはなかなかに難しいことです

なので同じ時間にセキネトモイキを含めた皆で茶を囲み、話をする、というのは、飲むことで感覚的に理解してもらった『液体料理』をさらに理解し楽しんでいただくためにも欠かせないことなのです


以上のことからnokishita711は『完全予約制、フリーフロー』という営業形態を選択しました

うちは万人が楽しめる娯楽を提供しようとは思ってません。それ相応の覚悟を持ってご予約下さい

その覚悟を裏切らないようセキネトモイキも精進を重ねていきます



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