君の瞳に恋してる

March 1, 2018

久しぶりに恋に落ちた

 

恋に落ちるとは言い得て妙で、今ボクは1日のほとんど彼女のことを考えているし、可能な限り彼女と一緒にいる

 

 

彼女との出会いははじめSNSを通じて写真を紹介されたことからだ

今だから言えることだけど、彼女はあまりボクの好みではなかった

だからいざ会うことになったときも乗り気ではなかったし、まさかそのあとあんなことになるなんて少しも思っていなかった

 

 

決して彼女は美人でないわけではない

クリっとした瞳や、シュッとした顎、褐色の肌は一度見た人を釘付けにする魅力がある

ただこればかりは人の好みと言うのか、ボクは胸の高鳴りを感じなかった

 

 

少しマフラーが所在に困りだす冬の終わり

ボクはそんな思いを抱いて渋谷道玄坂を上がっていった

失いかけているきらびやかさを必死で取り付くような電飾が施された建物が並ぶ

 

彼女は先に待っているらしい

少し小走りで坂を登る

汗が滲む

春は近い

 

階段をあがると階段の正面に彼女はいた、写真と同じ格好をしていてくれたのですぐに彼女だとわかった

息を整える

汗は、かいていない

 

いざ目の前にした彼女の印象は写真と変わらなかった

それと同じようにボクの胸の鼓動も変わることはなかった

 

しかしその30分後ボクたちはキスをする

そしてその夜ボクらはひとつになった

 

 

彼女はとてもアクティブな女性らしい

肉食系と言うらしいが

それは後々人に聞いた話だが、外見など特に気にせずに色々な方にアタックしていたらしい

ボクの前ではとても落ち着いた印象だったのは彼女も緊張していたのかもしれない

 

こういった形での出会いははじめてだったのでどう距離を縮めればいいのか、そんな探り探りの時間がすぎる

しかし時間というのは時としてただ共有するだけでお互いの距離を縮める魔法として効果する場合がある

その時はまさにそんな魔法がかかったような時間であった

 

緊張は緩み

距離は縮まり

自然とふれ合う

 

彼女に触れてふと感じたことだが、彼女は、なんというか、とてもいい匂いがした

誘惑的な、と言ってしまうのはボクに都合のいい表現かもしれないが、その香りに惹きつけられるように、ボクは彼女にキスをした

 

 

少しお酒も入って入っていたというのはただの言い訳かもしれない

再び夜に再会したときボクの気持ちは高ぶっていた

 

キスというのは時間という概念をかなぐり捨てて指数関数的に親密さという幻想を増加させる儀式なのかもしれない

キスのあと彼女と別れ再び再会するまでの数時間はまさに指数関数的速度で過ぎ去り、再会したとき彼女以外のものは目に入らなかった

 

 

薄暗い部屋で

彼女を見つめ

背中に手をまわす

天使の羽を剥ぐように彼女を生まれた姿にする

華奢な指先

美しい脚

そして五体を刻むように丹念に愛撫をする

胸が高鳴る

何度目かのキス

 

 

恥ずかしい話だが、30を越えているのにボクはこういった経験ははじめてであった 

胸の高揚と不安のせめぎ合いは高揚感が優勢である

 

 

再び目が合い

空気が止まる

沈黙

暗黙

境界線を越え

彼女を包み込む

お互いの熱が伝わる

 

彼女とひとつになる

 

 

彼女は想像以上に柔らかく

熟したラ・フランスのように甘美的で

そして仄かな獣臭のような香りがボクの脳を麻痺させた

 

ボクを止めるものはもはや何もない

獣のように彼女を味わい尽くした

 

 

 

あのときのことを今でもよく振り返る

 

彼女を思い出すとまっさきにフラッシュバックされるのがあのラ・フランスのような香りだ

香りというのはあれ程までに印象を覆す力があるのかと驚いた

 

しかし歯ごたえも思いのほかパリパリとするわけでなく、かと言って柔らかいというわけでもなく、嫌な感触はまったくない

味は香りの通りのラ・フランスのような甘みから最後は蟹のような塩気

 

今までに体験したことのない味の変化である

 

 

先にもいだ羽も同じくラ・フランスの味だが塩気が幾分強い

パリパリとしたスナックのようだが歯に詰まるような嫌な感じはない

脚は羽を少し肉厚にした感じである

 

胴体を縦に真っ二つにして、それを頭部、胸部、腹部と三分割したのだが、個人的には胸部が肉厚でおいしかった

部位による味の違いも今後より確かめていきたい

 

 

 

はじめての昆虫食体験であったがその相手が彼女であって良かったと思う

 

なにより昆虫のなかでもかなりグロい見た目に対しての香りと味のギャップが衝撃を大きくした

究極ギャップ萌えである

これ以上の体験は今後の人生に残されているのか疑問だ

 

昆虫食体験、と言ってしまったがこれはただの「体験」でなく、ただただ「おいしい」ということが大切である

特別な「体験」として入ることはもちろん大切であるが少なくともタガメに関しては普通に「おいしい」から食べる、という方向にシフトするポテンシャルがある

 

食糧問題などの文脈か、ゲテモノ喰いのようなネタ的な観点から語られることの多い昆虫食だが、それとは違う「おいしさ」としての昆虫食を正しく伝えていく必要があると思った

 

今後昆虫食プロジェクトの一端を担って行く予定である

続報をお待ちいただきたい

 

もちろん今後ともボクの彼女への愛は留まることない

 

セルフプロジェクト

「タガメの瞳に恋してる」

 

 

 

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