自分のやっていることをどのようにしてわかりやすくみんなに伝えるか、
それはいつも頭の片隅にあることです
新しくセキネトモイキやnokishita711のことを知った方に対して最短距離で自分のやっていることを伝える言葉を探していました
そんななか『Extract-ology / 液体調理法』という考えを表明することに至りました
まだ細かい技法や定義をしっかりまとめられる段階ではないです、とりあえず今回旗揚げさせてもらって、これからしっかり体系化し、またみなさんに共有し、いつか一つの調理分野として確立していきたいと思っております
Extract = 抽出する。という意味です。それに- ology = ~学、~論、~科学。という言葉をつけて『Extract-ology』。日本語にすると『抽出学』とかになるんですがあえて『液体調理法』と訳してみました
私が『液体料理』と称して作っているカクテルの最大の特徴であり課題は食材からしっかりと食材の味わいを残した液体をいかに絞り出すか、という『抽出方法』にあります
つまり液体料理をつくる技術体系が『Extract-ology / 液体調理法』ということです
今や『Mix-ology』という言葉はカクテル技術全般を指すようになったように思います。その中でも『抽出』というところにフォーカスしたものが『『Extract-ology / 液体調理法』』、という感じでしょうか
Mix-ologyはロンドンのホテルバーテンダーが、「フルーツが容易に手に入るのに、リキュールを使う必要はあるのだろうか?」という疑問を持ったところから始まったという話を聞いたことがあります
それをさらに深めて「肉、魚、虫、野菜、果物、草木。あらゆる食材の味わいを液体として抽出し、カクテルにする」というのが『Extract-ology / 液体調理法』の根本的な考えです
漬け込み、ジューサーやブレンダーでジュースにする、蒸留などはもちろん発酵、エクストラクション、煮出す、など食材から直接液体を抽出することはなんでも液体調理法にカテゴライズできると思います
今のところは画期的な新しい技法、というより、それぞれの食材に対しての最適な技法を導き出していくという感じです
当たり前の技法ばかりに思うかもしれませんが、果実のジュース一つとっても、ただジューサーやブレンダーで絞り出すということだけに踏みとどまることなく、それ以外の抽出方法の中から最適解を導き出せる可能性はまだあると思っています
これは『Extract-ology / 液体調理法』の定義には含まないつもりですが、私の個人的な趣向としてネクターのようなドロッとした液体を好まないため、すべてクリアでさらりとした口当たりの液体として抽出する、ということもテーマにしております。クリアでさらりとした桃やとうもろこしの液体、どうやって抽出しているかわかりますか?
そうやって突き詰めていくと、まだまだ私たちは液体を抽出するということに関して知らないことが多いと思わされます
もう一つ根本的な考えは、既製品、特にミキサー(トニック、コーラ、ジンジャーエールなど)、ジュース、シロップ、リキュールなどを使用せず、食材から自ら抽出した液体でカクテルの味を作るということです
これらの既製品を使うことを否定はしませんが、それは果たして自分の味といえるのか?という疑問は呈したいと思います
と言いましても、もちろん多くの国ではバーでアルコール生成することが禁止されているので、私も蒸留酒や醸造酒を使ってカクテルを作ります
しかし、Extract-ologyの考え方では、カクテルの味がスピリッツや醸造酒の味に大きく依存しないことがとても重要です。
蒸留酒や醸造酒の特徴を生かしてカクテルを作ることは大切ですが、その味がカクテルの味わいの核になってしまうことには消極的であるべきです
こうした『Extract-ology / 液体調理法』を用いて「スピリッツやリキュールなどの味より、食材の味わいを前面に出したカクテル」を『液体料理』と私は呼んでいます
今回の『Extract-ology / 液体調理法』の提案とは、私が新しくこういうカテゴリーをこういう定義で作りました!という表明ではなく、こういった方向性で新しいカクテルを創造していきませんか?という未開拓の分野への提案です
この提案によって『Extract-ology / 液体調理法』という考え方に共感してくれて一緒に新しい技術を確立していってくれるバーテンダーや料理人に出会えれば幸いだと思っています
そう、言い忘れましたが、Extract-ologyの技法には、料理と同じようなテクニックがたくさんあると思います
なので、バーテンダーだけでなく、シェフがカクテルやモクテルを作る際にも使うことができると思ってます。
また、Extract-ologyは料理の技術が必要なので、バーテンダーはExtract-ologyを取り入れることで料理の腕も磨くことができます
最後にとても重要なことですが、食材を本気で余すことなく使い切ろうと思うと、固体として調理する方法と液体として調理する方法の両方を熟知している必要だと思っています
同じ食材でもパーツによって適切な調理方法は違いますからね
そう考えると、近いうちにシェフとバーテンダーの境目がなくなるかもしれないですね
あくまで私の考えですが。
Commentaires