• TOMOIKI SEKINE

昆虫食解体新書


7 years old summer, chasing the beetle. 32 years old now, making cocktail with beetle. The curious goes on.. 7歳の夏休み、ボクは夢中でカブトムシを追い回していた 32歳の今、ボクは昆虫カクテルを日々試行錯誤している ボクの好奇心は、今も、あの夏も変わらない なにがおいしいのか、なにがただしいのか、なにが正解か、だれも知らない 未知が好奇心の背中を押す ただボクは今もあの夏もドキドキしていたいだけだ

7月に行われた昆虫食解体新書=祭=の資料作成にあたりbugologyのリーダー高橋裕亮さんから今回のコンセプトを書いてくれと言われてボクはこんなことを書いた 7月6日Panasonicが主体となって運営する渋谷のクリエイティブラウンジ『100banch』の1周年記念イベントの一環として今回の昆虫食解体新書は行われた 50人程の設定をしていたイベントに150人以上の方が文字通り押し寄せてくれ、産経新聞やいくつかのネットメディアにもレポート上がっていたことからも昆虫食の注目度が上がってきているのを実感する そういえばちょうど開催一週間前くらいにnomaの姉妹店として東京にオープンしたinuaのコースの最後が『蜂の子ご飯』だったという情報を見つけ『やっぱり昆虫食熱い!』なんてメンバーで盛り上がっていたのはあながち内輪盛り上がりでもなかったのかもしれない

しかしまだ、特にメディアがかもしれないが『昆虫食を社会的にどのスタンスで触っていいのか』を決めきれていないように(特に新聞は)感じた だからこそボクらがイベントをし情報を発信していく意義があるのかもしれないが 今回はボクらbugologyメンバーにプラスして、salmon&troutの森枝幹さん、コオロギラーメンの篠原裕太さんも参画してくださった ふたりともボクたちより早くより昆虫食を取り入れてきた先輩で、料理だけでなく昆虫食に対する考え方などたくさんの刺激をもらえた その上で今一度昆虫食の今と自分のスタンスを再考する

昆虫食を語るスタンスは『食料問題』『イノベーティブ』『ゲテモノ』の3つが主軸になりつつある 『ゲテモノ』はどうでもいいw いや、ボトムからの普及性という意味では重要なのだが、個人的には興味ないだけだ 『食料問題』は国連の食糧機関が昆虫食の将来における重要性を発表したり、アメリカンのフードテックが何社か昆虫パウダーで多額の調達をしたりと世界的に一番主流な切り口になりつつあるかもしれない しかし食糧問題に関しては最近注目度がグンと上がっている新しい遺伝子編集技術『CRISPR-Cas9(通称クリスパー)』も然り今後技術的なイノベーションが起こったときにそれでも昆虫食の重要性が説かれ続けるか、というのは疑問だ 『イノベーティブ』に関しては前述したデンマークのnomaが数年前に発表したアリ料理を発端に徐々に料理業界での注目は上がってきている そもそもこの流れは料理業界の地産地消2.0思想の流れだ(ちなみに今勝手に命名した) nomaを筆頭に『その土地の魅力を再発見再構築する』というのはイノベーティブレストランの定義にもなりつつある文脈である ただの地産地消と違い、伝統的に食べられてきたものだけでなくその土地で採れるものでありながら今まで食べられることのなかったものを探しだす、という要素が強いのが特徴であるのならば、そこに昆虫食が積極的に取り入れられるのは必然であろう

ではボクのスタンスは、というと、と考える機会を与えてくれたのが今回の昆虫食解体新書だった 『食糧問題』には正直それほど関心はない ボクは学者ではないのでそれはそっちの専門家に一任する 一方同じ食業界として『イノベーティブ』な動きはいつもチェックしているし参考にさせてもらっている ただ地産地消2.0の文脈に載っているかと言われると、ボクがタガメを推していることからも(ボクが使っているタガメはタイ産だ) また違ってくる そもそも飲業界も地産地消的な流れは活発になってきてはいるが、まだまだどこを向いても『日本といえば抹茶と柚子』程度であったり、世界的なカクテルコンペティションの要項に『世界中どこでも手に入る材料で』なんて文言があったりするので食業界とはまだまだ格差がある 

そんななか『ドリンクディレクター』という肩書を自称している自分としては飲業界の中で昆虫食を考えたときまずは『受け入れられやすい昆虫食』というスタンスを確立することに重きを置いている その先鋒格がタガメである タガメのグロい→ウマいのギャップ萌のインパクトは絶大だ(タガメの魅力は以前にブログに書いたのでそちらを) さらにそれは飲業界の遅れているイノベーティブにも刺激を与えられたらという想いもある そもそも昆虫食の導入としてカクテルは非常に相性がいい 第一に昆虫食と言いつつも実際に食べるのでなくエキスとして使うことが多いので抵抗が少ない タガメのようにアルコールに溶けやすい成分も多いので料理とは違った可能性もある それなのに飲業界で昆虫食の探求が進まないのはイノベーティブなマインドセットのポテンシャルがまだまだ低いからだろう(これ以上はただの愚痴になりそうなので割愛)

ただ頭ではそういったことを考えるわけではあるが、それはあくまでふと立ち止まり、後ろを振り返り、進んだ道を整理整頓したときに出てくる言葉でしかない ボクの心をワクワクさせ、その好奇心を突き動かすのはそんなごもっともなスタンスや高貴な目的意識ではない それこそが最初に載せた今回のコンセプトである ボクはただ自分が知らないものを知りたい ボクはただあなたの驚く顔がみたい ボクはただ未知の荒野を駆け回っていたい はしゃぎすぎてる夏の子供みたいな、そんな気持ちでボクは昆虫食と遊んでいる

さっきまで偉そうに講釈していたのはなんだったのか!と思うかもしれないがそういった文脈を知った上でそれをすべて無視するという遊びの手法だと思ってほしいw

これからも変わらず好き勝手やっていく 一緒に遊びたい人は遊ぼう 遊んでいるだけだから眉間にシワ寄せた批評家の言葉はボクに響かない ボクより楽しそうに遊んでる奴の言葉はボクを刺激する たかが食、たかが酒、これからもただドキドキするよなおもしろいことを探していく あ、今回のイベントは100banchで育てているコオロギも使った 『渋谷産コオロギ』、ヤバくない?w 


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