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執筆者の写真TOMOIKI SEKINE

デザインをしない人のデザイン論(?)


自分はデザイナーではない

それが前提だ

しかしながら最近ジンのボトルデザインについて相談されることがちらほら

そしてついに『魅力を感じるお酒のラベルと、ラベルをデザインする上で大事だと思うことを教えてください!』

という根源的な質問までいただいたので、その答えをデザイナーではないものの意見としてここに考えながら記していこうと思う

ボトルデザインは難しいと思う

デザインできる体積も限られてるし、ボトルの中身はどれも微々たる色の違いくらい

それでもボトルデザインは、わがままな作り手の想いを表していて、酒屋でボーッと眺める購買者に手を伸ばさせ、そして飲んだときに味とデザインの脈略が繋がるようなものでないといけない

難儀なものだと同情したいくらいだ

そんなボトルデザインを決めるときにまずは『文脈的』アプローチか『原理的』アプローチか、そのどっちを取るかまず大きな分岐点ではないだろうか

『文脈的』というは、デザインとはメディアであるべき、というアプローチである

ラベルの中になるたけ多くの直接的な商品情報や味のヒントになることを入れ購買者にまだ見ぬ味を伝える

誰が、どこで、何を材料に使って、どういったコンセプトで、どういった味なのか

味のイメージをより想像しやすくすることで購買者の手に取ってもらいやすくするためである

かと言って説明書を貼り付けたような野暮ったいデザインのボトルなど手に取るのは色気の欠片もない酒マニアだけだろう

そしてもう一つは『原理的』アプローチだ

『原理的』とは情報を最小限にし、単純なカッコよさやデザイン性、目新しさ、などを重視し商品の魅力を伝える方法である

購買者が『あ、このボトルかっこいい』と直感的に手に取ってしまうデザインを目指すことである

削ぎ済まされたシンプルなデザイン

眼をひくデコラティブなもの

目がまわるほど奇抜な色

クールなモノトーン

ユニークな形

それこそ様々な可能性があるし、それこそデザイナーの腕の見せ所だろう

しかしそれがどんなに素晴らしく挑戦的なデザインだろうと、お酒の魅力とマリアージュすることのない独りよがりなデザインであれば、それは決して普遍的にはなりえない

この2つのアプローチは決して相反するものではないし、どちらかに振り切らなくてはならないわけではない

そこで試されるのがデザインの力だ

もちろんわがままな生産者には伝えたい想いも情報もそれこそ溢れんばかりあるのは当然だ

その情報を、ただ羅列しただけだと説明書を貼っつけただけのボトルになってしまうだろう情報を、ところ巧みに構成し、抽象化し、組んでいくのもデザインの力 

シンプルなだけのデザインなど吐いて捨ててそれで掃除できるほど溢れかえっている

そんな世の中で、シンプルだけどイノベーティブで説得力があるデザインをつくる。それこそもちろんデザインの力

その2つの力の機微を操れる人こそがデザイナーだ

まぁそう言い切るだけなら簡単だ 

最初の問いに対してなんの答えにもなってない

だが当然自分はデザイナーではない

その問いに答えられるならデザイナーになっていただろう

と一旦開き直ることにする

だがしかし決してデザイナーではない自分なりにいいデザインを生み出すコツみたいのも最近感じる

もちろん阿吽の呼吸ができし、この人になら抱かれてもいいと思えるほど信頼できるデザイナーが側にいることが前提だ

もしあなたがそんなラッキーに巡り合ったのなら是非ともそのラッキーを既読スルーしないように最善を尽くすべきだ

そのために大切なのは

デザインは言葉だけでなく写真や絵などでより具体的に共有することだ

自分はそのデザインに近いイメージをPinterestでデザイナーと数百個はいつも共有する

まずは何も言わず共有し、ぼんやりとしたイメージを掴んでもらい、その後『このデザインのこの部分がいい!』といった具合に具体的に共有していく

そうすることによってデザインを練る上での共通言語みたいなものができる

そして捨てる才覚

ちょっとでもいいと思えるものを残していったり

これのここをこうしたらより良くなる

みたいな工程だと悪い意味でちょうどいいデザインが仕上がっていくことが多い

いろんな要素を残していくことで自分の頭の中もグチャグチャになり、最初のコンセプトがどんどん曖昧になっていくからだと思う

そうではなく、ちょっとでも違うな、と思うものをバシバシ捨てていくほうがいい

その方が頭の中をシャープに保つことができるので、これだ!というものをちゃんと見切れる

そして同じく捨てるべきは『みんなの意見』である

はっきり言うと世の中のほぼほぼほとんどの人は普段デザインのことなど考えてもいないし、ほぼほぼだいたいほとんどの人は、ダサい

そんなダサい奴らの意見など取り入れてかっこいいものができると期待することは、石油を採掘をしていたらその採掘能力を買われて地球に落ちてくる隕石の破壊を頼まれ地球を救うヒーローになるのを期待するくらい奇跡的だ

そしてもし意見を聞くとしても(絶対に)意見が聞きやすい仲がいい人に聞くべきでないし、(絶体絶命的に)休日も白のワイシャツを着ている上司には話を振らない方がいい

もし意見を聞くのであれば、この人になら抱かれてもいいと思えるくらいセンスがいいなーって思え、且つちょっとイラッとするくらい愚直に意見と根拠をくれる人にすべきだ

そして日本がダサい原因は意思決定プロセスの多さにあるので、何より会社の会議でデザインの議題を上げるのは避けるべきだ、もし社長に意見を聞こうものなら社長の趣味的な要素をぶち込まれある意味猟奇的なデザインになることは世の常だろう

決定報告だけで十分だ

『魅力を感じるお酒のラベルと、ラベルをデザインする上で大事だと思うことを教えてください!』  

という問いに対する答えは

『一緒にもがき苦しもう!』

なのかもしれない

デザインに答えや公式はない

もしそんなものを見つけたとしたら、それはクソデザインの最初の一歩であろう

だけどもがき苦しむものに神さまは時々アイディアをくれる

ボクらにできることは、脳味噌を浪費し、手を動かし、もがき、待つことだけだ

そろそろ眠し、明日続きを書く気にもならないのでそろそろ結論を出したいのだが、そんな精神論でしか締めくくれないのが自分の現状だ

いつかもう少し具体的に記せるようにもう少しもがいてみようと思う

最初に言った通り、まさに考えながらこれを記したので口の悪さと文章の汚さは多目に見てほしい

これなにかの参考になるのか?

。。まぁ奇跡的のなにか少しでも皆様の役に立つことがあれば幸いだ


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