1、nokishta711のこと
液体料理 / liquid cuisine
・肉、魚、虫、野菜、果物、草木などあらゆる食材の味わいを液体として抽出しカクテル
・『酒+何か』というカクテルの定義を脱ぎ捨て、あくまで主役は食材であり、酒は食材の味わいを液体にするための媒介(料理で言うところの"油"に近いイメージ)
・スープやソースと違い塩味が味わいの主でなく、甘味酸味が主になる場合が多い
虫養い
・腹の虫を養う=スナックや軽食のこと
・カクテルを作る際に出る搾りかすや食材のカクテルとしては使わない部分を調理
・あくまで主役はカクテルなのでカトラリーを使わず手で摘まんで食べるくらいのものにするようにしている(時々箸やスプーンをつける場合もある)
・ペアリングではない
・揚げ物油はろ過して行灯に利用
・メンチカツ、チュロス、和菓子、肉まん、チュイール、茶碗蒸しetc
フリーフロー
・完全予約制、90分の時間制飲み放題のみで営業している
・カクテルメニュー(だいたい20種類くらい)から選んでもらう)
・アラカルトで一品だけ飲んでもらっても伝わるものは少ない
・コースにしてしまうとお客さんが受け取るだけになってしまう
・アラカルトより多角的に、コースよりも主体的に楽しんでもらうため
・一斉スタート。フリーフローのあとにお茶をみんなで飲む時間を作っている
古物商
・古物商の許可を取って、店で使っている器や室設を販売している
・日本、中国、韓国の古物をメインに、ヨーロッパのものや現代作家のものを集めている
・抹茶碗や茶器など現代の日常ではほとんど出番のなくなってしまった道具に新しい使い方を宿らせてあげたい
・日本に住み、日本文化が好きで、飲食の世界に身を投じる上で、最低限の日本の文化を身につけ、かつバーという新しい文化の中で自分の形のスタイルで表現していきたい
・日本料理はうまいものを作れるだけでは尊敬されない。器、花、書、茶など日本文化にきちんと傾倒している上で美味いもんを作れるから尊敬される、という言葉
・古物は作った人にお金が回らないのが難点
2、カクテルのこと
うちのカクテル(液体料理)の特徴
・味わい → 動物性食材、酸
・リキュールはほとんど使わない
・低アルコール
・プリバッチ
・清澄化とろ過
味わい
・アルコールは水溶性と脂溶性の成分をどちらも溶かすことができるので食材の味わいをアルコールに溶け込ますイメージ(料理の油に近い)
・出汁(和食の出汁、フランス料理のフォンなど広義)の応用
・料理とは反対に食材の細胞を壊して細胞内の成分を液体として流出させる
・食材の味わいを酸味と甘味で引き出す(料理は塩味の場合が多い)
・柑橘類の酸味を多用せず、乳酸と酢酸などの酸を多く使う
・メインとなる食材の味を確かに感じられるように
・五味+アルコール度数で味の全体量を調節する
酸
・発酵により液体中の腐敗菌などが減るため賞味期限は長くなる
・発酵は思っているより単純ではない。きちんと原理を考えながら自分で検証していくことが大切
[ 発酵の種類 ]
・乳酸発酵 → 塩を添加しない乳酸発酵(塩は分解されない。乳酸菌の活動しやすい環境つくり。ホモ乳酸菌とヘテロ乳酸菌)
・アルコール発酵 → 意図したアルコール発酵(乳酸発酵とのせめぎあい)
・酢酸発酵 → 食材の味わいを残した酢
・麹発酵 → タンパク質をアミノ酸に、デンプンを糖に
・コンブチャ→ 酢酸発酵+アルコール発酵
・酸の強さ → 乳酸、酢酸、コンブチャの順で強い
プリバッチ
・プリバッチしておいて注ぐだけ(シェイクもミキシングもすることはほとんどない)
・氷はほとんど使わいない(冷蔵、常温でおいしく飲める味のバランス)
・二次発酵
・ガス添加
・味の落ちてきたものはアルコール度数の調整と酢酸を添加してお酢にして次のカクテルへ
清澄化
・清澄化する→味やテクスチャーだけでなく、不純物を除くことで保存性が高まる
[ 清澄化の種類 ]
・ミルクウォッシュ → あまり使わない。カクテルに乳感がほしいとき
・エッグウォッシュ → 出汁、インフューズドしたスピリッツ
・ゼラチンウォッシュ → 使ったことない
・ペクチナーゼ → 一番使う(0.01%~0.05%、40℃で60分)
・サイフォン → 濾して置いたものに澱が出る場合
・珪藻土 → プリコートとボディフィード
ろ過布の材質
・ろ過→味やテクスチャーだけでなく、不純物を除くことで保存性が高まる
・ろ過布の種類によって液体の清濁だけでなく味わいも変わってくる
・ろ過で残った搾りかすを虫養いに利用
[ ろ過布の種類 ]
・ペーパー → テクスチャ―が一番スムース、透明度も高い。油脂に溶けた成分がペーパーに取られることがある
・布 → ペーパーに比べるとざらつきが出る、色も残る、味わいも残りやすい
・化学繊維 → 細かさが選べる。油は吸わない ( これから実験 )
・圧搾機 → 残留物が多いものをろ過する際は効果的
・文化
バーテンダーの文化的責任
・バーテンダーとして文化を扱う責任について
・バーテンダーとして日本文化の取り扱いには常に恐怖感を持っている
・自分が誤った情報や薄っぺらくダサい表現で日本文化をバーやカクテルに取り入れ表現することに恐れがある
・日本人の自分が表現した日本文化が海外の方々にそれがスタンダードだと伝わってしまう恐れをいつも抱いている
・バーやカクテルという新しい分野に様々な文化を取り入れる時に伝統的なものを変化させることは必要
・もともとの背景や精神性をきちんと理解に努めたうえで変化を加えるようにしている
情報の共有
・情報の扱い方
・バー業界内での技術や情報の共有は大切
・情報発信源へのリスペクトがなくなると共有する機会が減る
・ダウングレードはただのパクり、アップグレードや応用をしろ
・逆に簡単に得られる情報ばかりに集中して多様性がなくっている
・情報やトレンドに盲目にならない
・アート&サイエンスのバランス
・世界的なトレンドを押さえて業界のレベルを上げることも大切だが、より有象無象がうごめいた方が長期的にみると豊かな土壌になる
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